私は約2年間を社内ニートとして過ごした元プロの社内ニーターです。
おそらく社内ニート経験がない人は社内ニートの人が普段どのようなスケジュールで勤務をしているかって謎のベールに包まれていると思います。
そりゃそうですよね?
普通に正社員として働いていれば程度の差はあれど、なにかとやることがあるものです。
そんな中で、「社内ニート」っていったい何してるの?皆忙しいのになぜその人だけ何もしないの?というのは当然湧いてくる疑問です。
そんな疑問に元社内ニートの私が答えます!
今回の記事では、私の社内ニート時代の1日のスケジュールを紹介しますので、日々忙しく働いている皆様には社内ニートについての理解を深めていただければと思います。
社内ニートの1日のスケジュール
さっそく私の社内ニート時代の1日のスケジュールを公開します。
当時の私の職種は建設関係の製品の営業部配属です。
基本の就業時間は8時~17時です。
7時40分 出社
とりあえず定時より早めに出社し、自分宛に来ているはずもないメールBOXを確認したり、いろいろなExcelなどのファイルを開いたり閉じたりします。たまに建設新聞が回覧で回ってくるので必要以上に熟読します。
8時20分 外回り営業へ出発
私以外の営業社員は見積書を作成したり、取引先からの依頼の書類を用意したりと忙しくしている中、私は何もやることがなく事務所内の空気に耐えられないため誰よりも早く営業車に乗り込んで外回りへ出かけます。
9時10分 いつもの道の駅の駐車場で小休憩
いつも決まった道の駅の駐車場にて営業車の中で休憩します。
スマホで株価を見たり、ネットニュースを見たり、時には昼寝(昼寝と言うか時間的には朝寝?)します。
何だかんだして30分~1時間ほど休憩したら出発します。
10時00分 1件目の飛び込み営業
重い腰を上げて設計事務所のインターホンを押します。設計の先生がいれば挨拶をして名刺だけ渡して終わり。不在であればポストに名刺を入れて終わり。
10時30分 2件目の飛び込み営業
気分がのらない時は午前中は1件だけで終わる日もざらにあります。
11時30分 営業車の中で早めの昼食
12時00分 営業車の中で昼寝
昼寝はいつでもしようと思えばできますが、一応、規定通りの休憩時間ということで正々堂々と昼寝をします。
13時00分 営業車の中でボ~とする
規定の休憩時間が13時までなので、一応、13時くらいには昼寝から目覚めて、しばらくの間、ボ~とします。
14時30分 3件目の飛び込み営業
午後も重い腰を上げて飛び込み営業を1~2件こなします。
15時00分 いつもの道の駅の駐車場で小休憩
そろそろ会社の事務所に戻る時間が近づいてきているのでいつもの道の駅の駐車場で時間調整に入ります。
16時30分 会社の事務所に戻る
自分宛に来ているはずもないメールを確認したり、Excelのファイルを開けたり閉じたりします。
17時20分 退社
他の営業社員が忙しくデスクワークをしている中、やることのない私は申し訳なさそうに退社します。
事務所でExcelのファイルを開いたり閉じたりしてるって、冗談のような話だと思われるかもしれませんが、これ本当の話なんです。
「何でそんなことするの?」って言いたいんですよね?
そんなの決まってるじゃないですか。
やることがないからですよ。
例えば、小売業の人ならわかると思うんですが、物販店の店頭スタッフとして仕事していて特段やることがない時って、ただつっ立てるわけにもいかないから「前出し」って言われる商品整理の作業をとりあえずな感じでやりますよね。
Excelのファイルを開いたり閉じたりする行為は、いわば小売業の「前出し」みたいなものです。
※小売業にとって「前出し」は本来、売上向上のためにおいて重要な作業です。ただし「自分はさぼっているわけではないよ」というポーズとして前出しをしているケースもかなり多いです。
1日の飛び込み営業の件数は多くても4件か5件くらいでした。
この仕事に就いた当初は私もやる気があったし、この業界がどういう物なのかも理解できていなかったので「数をこなして何とか結果を出そう」と思って1日に10件程こなしていたんですが、3ヶ月もしたら完全に心が折れました。
おそらく社内ニート経験がない人がこの内容を見ると「考えが甘すぎる!」「頑張りが足りない!」という感想しかないと思います。
それはごもっともなんですが、でも社内ニートってそんな単純な問題じゃないんですよ。
なんて言うか、説明が難しいし、社内ニート経験がない人には何を言っても理解はできないと思いますが、
自分に適性の無い仕事ということだけでなく、周りの環境なども含めて総合的かつ複合的な要因で社内ニートは完成するのです。
仕事はできないし、やる気も無いけど社内ニートじゃない人もいますよね。
社内ニートになる原因は決して個人だけの責任ではないんですよ。
とりあえず、社内ニートの考えを理解できない今のあなたの環境はとても幸せな環境なのです。
私が社内ニートになった経緯
まず、社内ニートを考える上で一番初めに出てくる疑問は「どうやったら社内ニートになれるの?」ということです。
これは私の個人的な考えなのですが、おそらく自分の意思で社内ニートになりたくてなっている人っていないと思うんです。
そして、社内ニートって一般的にはどんくさくて無能なダメ人間に与えらるポジションというイメージだと思います。
社内ニートになっている人は全員ダメ人間なのかと言うと決してそんなことはないと思いますし、むしろ社内ニートをしているけど他の部署に行けばむしろ既存社員以上に活躍できる人も埋もれていいると思います。
もちろん本当にどうしようもないダメ人間も中にはいると思いますが、それは社内ニートじゃなくても同じですよね。
ちなみに私は社内ニートになる前に勤めていた小売業時代は朝から晩まで休日返上で働いて優秀従業員の社内表彰をされたり、新規出店の店長を任されたり、それなりに優秀な社畜戦士でした。
そんな優秀な社畜戦士ですら環境が変われば社内ニートになるんですよ。
ちなみに、私の仕事内容は飛び込み営業のみになっていますが、他の4人いる営業社員で飛び込み営業をやっている人はいません。
なぜそんな状況になっているのかと言いますと、営業社員が5人いて私のエリアのみ昔からどの設計事務所にもゼネコンにもほとんど相手にされていないエリアだったのです。
なぜそのエリアのみ相手にされていなかったかと言いますと、会社から一番距離が遠くて、しかもそこはライバル社のおひざ元の地域だったのです。
業界経験者であればわかると思いますが、建設業界の営業というのは政治的な忖度のようなものがかなり需要で昔からの付き合いというのがすごく重要なのです。
ちなみに私の前にそのエリアを担当していた人がいたんですが、その人が退職してそのポジションに私が割り当てられました。
当然、前任者の時からそのエリアではほぼ仕事がなかったようです。
やることがないことほど辛いことはない
自分が社畜戦士として朝から晩まで働いていた時代は社内ニートって聞くと、「仕事もしないのに給料もれえていいなぁ~、むしろ勝ち組じゃん」くらいに思っていましたが、実際に経験するとそんな甘いものではなかったです。
周りの人たちが忙しそうにしている中で自分だけが常にやることがない、これは本当に辛いことで、なんか自分だけ社会から孤立している気分になるんです。
私も育児経験があるので良く分かるのですが、コレってワンオペ育児をしているときとすごく似た感覚なんです。
自分だけ社会から孤立している、自分だけ社会に置いてけぼりにされている、自分なんて世の中に不必要な存在なんじゃないか、自分はだれからも必要とされていない、自分なんていない方がいい、という感じでどんどんマイナスの感情が大きくなっていきます。
この当時はスーパーに買い物に行った時も店員さんを見ると「あぁ、仕事があっていいなぁ」と思っていたし、子供の保育園の行事を見に行った時は保育士さんを見て「こんなに社会に貢献している素晴らしい仕事をしているなぁ、それと比べて私は……」という感じで、何を見ても今の自分と比べてしまって落ち込んでいました。
忘れられがちなもう一つの問題点「経験が積めないから実力がつかない」
社内ニートの悩みと言うと、やることがなくて精神的にツライということだけがフィーチャーされがちですが、もう一つ大きな問題があります。
社内ニートのもう一つの大きな問題は、「普段何もしていないから経験値が全く得られない」ことです。
経験値が無いまま社歴だけが増えていくんです。怖くないですか?
社内ニートと言えども1年に数回は取引先から見積もりなどを頼まれることもあるんですよ。
そういった時に普段、全く経験を積んでいないのでどうやって進めればいいのか全然分からないんですよね。
ですので、社内ニートで仕事が無くて困っているのに、仕事が来たら来たでやり方が分からないので心の奥底では「仕事来ないでくれ」て思っている自分もいたりするんですよね。
「いや、上司や同僚に教えてもらえよ、やっぱり考えが甘すぎだろ」って思われるでしょうが、そんな簡単な話じゃないんですよ。
そういうのができない環境だから社内ニートが生まれるんですよ。
本当にいろいろな複合的な要因が重なって社内ニートが生まれる環境になっているんですよ。
まぁ、コレに関しては社内ニート経験がない人には何を言っても理解できないと思うので、私もあまり言いたくはありません。
「俺ならその環境でも上手くやる」と思っている人もいると思いますが、社内ニート経験がなくてそう思えている今のあなたの環境は幸せ、ということです。
私は2年間社内ニートを経験したわけですが、1年目は、「まだ新人だから」という言い訳があったのですが、2年目になるとそれも通用しなくなるので、どんどん周りの目が辛くなっていきます。
そして、私は退職覚悟で製造の工場への転籍を直訴し、たまたま工場に退職者がいたことによる空きがあったので転籍が認められ無事、社内ニートを卒業することができました。
現状の自分のポジションを自分の人間としての実力であると勘違いしないように
私が社畜戦士から社内ニートになった経験から得られた教訓は、
「サラリーマンは現状の自分のポジションを自分の人間としての実力であると勘違いをしてはいけない」ということです。
私も小売業で社畜でバリバリ仕事をしていた時は、「周りの人に足引っ張られるのが嫌だから自分の頑張り次第で結果が出せる営業職の方がいいなぁ」とかイタイことを考えていました。
しかし、営業職に転職したらあっさりと社内ニートになってしまいました。
コレって単純に私が営業職の適性が無かったということだけではなく、結局、サラリーマンとして組織に属して働く以上は、自分の実力だけではない、組織の環境などに大きく影響するということです。
その時の組織の環境にマッチしなければ誰でも社内ニートになりえるのです。
言ってしまえば、私だって今ならば営業部に戻っても当時と環境が違っていて、もしかすると、大活躍とまではいかないまでも社内ニートにはならない程度に仕事をこなせるかもしれません。
それぐらいに社内ニートになるのは運の要素が強いのです。
ようは、今の会社のポジションで活躍できている、もしくは活躍とまでいかなくとも普通に働けているという人は、極論を言えば、たまたまその組織にマッチできただけであり運なのです。
もちろん、個人の頑張りの部分も大きいですよ、しかし、それをついつい100%自分の実力や頑張りであると勘違いしてしまいがちなのが危険です、という話なのです。
サラリーマンとして雇われて働いている以上、結果において100%自分の実力というのはないと思います。
私は社内ニートになって、初めて自分は会社に助けられていたんだ、ということを実感できました。
いや、社内ニートもじゅうぶん会社に守られているんですけどね。何もしなくても給料もらえますから。
そういう意味じゃなくてね、会社の後ろ盾があって初めての自分の実力が発揮できていたのだな、ということが分かったということです。
自分の実力をしっかりと理解できたということだけは社内ニートを経験してよかったなと思う部分です。
まとめ
約2年間社内ニートを経験した後、私は同じ会社の製造の部署へ工場作業員として配置転換し今はおかげさまで心身ともに活き活きと働いています。
「普通に働ける」、これは本当に幸せなことです。
世の中の人って何かと勤めている会社をディスりがちですが、普通に雇ってもらって普通に働かせてもらえるのは本当にありがたいことですよ(もちろん、ディスられてしかるべきな会社もあるとは思いますがね。)
そして、社内ニート問題は本当に明日は我が身です。
会社に雇われて働いている以上は誰でも社内ニートになってしまう可能性はあります。
真面目、とか、仕事がデキル、とかは本当に関係ないんです。
私は今後、社内ニートにならないための対策としては、資産を拡大させたりブログなどの副業で少しでも自分で稼ぐ力を付けて、会社を辞めたいときはいつでも辞められる状態に持って行きたいなと考えています。
社内ニートになるかどうかは運であり、自分でコントロールできません。
もし社内ニートになった時にはすぐに辞める、そうやって対策するしかないと、社内ニートを実際に経験した私は思います。(もしくは部署異動を申請し、却下されれば辞める)